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【WEB記事】「高校野球が変わる」 慶応・大鳥遥貴マネジャー(2023.08.18 神奈川新聞)

2023年08月29日

 神奈川代表の慶応は3回戦で広陵(広島)を退け、15年ぶりとなる8強進出を果たした。記録員としてベンチ入りするマネジャー大鳥遥貴(3年)は「高校野球を変えていけるはず」と、日本一へ突き進むチームを支えている。

 中学生の頃から抱えていた腰の痛みが、高校1年の4月に悪化した。医師に告げられた診断は腰椎分離症。それでも、けがと向き合いながら選手としての道を歩もうとしていたさなかだった。昨年の3月。練習後に森林貴彦監督(50)に呼ばれ、「マネジャーをお願いしたい」と打診された。

 「嫌です」と最初は断った。でも、チーム状況を改めて見渡し、高校野球での将来を考え直した。当時顧問の七條義夫教諭から「マネジャーが良いチームは強くなる」との言葉をもらい、気持ちは変わり始めた。

 「初めは仕方なくやっていました」と振り返るが、今ではデータ収集などの仕事が向いていると感じることも増えた。選抜大会に出場が決まった1月には、甲子園を経験したマネジャーのOBと連絡を取り合い、遠征先でチームが円滑に動ける方法を聞いた。

 大鳥が自分の代になって特に意識したのは、Bチームの選手たちとのコミュニケーションだという。公式戦を多く積むほど、主力組と関わる時間が減ってしまうと感じた。「今のチームはどんな感じ?」。直接聞けなくても、部員を通じて垣根をなくそうと試みた。

 選手から裏方に回った時の悔しさは痛いほど知っている。今夏、背番号をもらえずサポートメンバーとなった部員には「仲が良いのが強み。スタッフも仲良く協力しよう」と話し、モチベーションの維持に努めた。

 爽やかなまなざしでナインを見詰める。「慶応が甲子園に出ることでここまで注目されるのは、高校野球が変わっている時期なのかもと感じる。絶対に日本一を取ってほしい」。胸を張って制服に袖を通す。(藤江 広祐)

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