慶応７－２沖縄尚学

　「優勝するための選択」と慶応・森林貴彦監督が甲子園準々決勝のマウンドに送り出したのは、神奈川大会を含めて今夏初先発の左腕鈴木。四回に２点を先制されたが試合をつくり、エース小宅を休ませるという意味でも大きな役割を果たした。

　神奈川大会では準々決勝で救援するも、押し出し四球などでピリッとせず。だがそこから、決勝横浜戦の好投などで信頼を取り戻し、大事な試合の先発を任された。

　神奈川大会後にリリースポイントを高い位置に変えた。１８７センチの上背を生かして角度をつけ、かつ縦の変化球を有効に使うため。失投のカーブを２ランとされ「（走者を置いた）あそこはしっかり切らないと」と反省したが、投球自体は「よかった」と手応え十分。右上手の小宅、右横手の松井と並ぶと、その威力はさらに高まった。

　この日は第１試合で、宿舎を午前５時過ぎに出発。前日は午後８時半に就寝したというが、「朝、ひげをそり忘れてしまいました。緊張していた」と試合後は苦笑い。

　ここからは「どこでもいけるように準備する」と気を引き締め、「やはり先発で投げる方が好き」とも。真っさらな甲子園のマウンドに抱いた好イメージは、今後のチームにとって大きな選択肢となりそうだ。
（和城　信行）