ホーム > メディア掲載 > 【WEB記事】慶応・小宅が完封劇 大舞台でも淡々 「想定内」が自信に(2023.08.22 神奈川新聞)

【WEB記事】慶応・小宅が完封劇 大舞台でも淡々 「想定内」が自信に(2023.08.22 神奈川新聞)

2023年08月30日

 夏の甲子園準決勝という大舞台でも、慶応の小宅の表情はいつも通り、淡々としていた。

 九回2死一塁。118球目、138キロの直球で詰まらせ、浅い左飛に仕留めた。無四球で公式戦初となる完封勝利。小宅は「2点差だったのでいくしかないと思った」と当初の継投プランを良い意味で裏切り、笑顔で右拳を握った。

 畳みかける集中打を武器に勝ち上がってきた土浦日大に対し、注意したのは「コースを間違えないこと。暑かったのでテンポよく守備からリズムをつくりたかった」。走者がいない状況でもクイック投法を駆使し、打者との間合いを操った。

 2年とは思えない冷静な思考も際立った。追加点を奪えず、いつ流れが相手に傾いてもおかしくない状況にも、右腕は「想定内。逆転だけは許さないように、同点オーケーという気持ち」と切り替えてマウンドに上がり続けた。

 準々決勝の沖縄尚学戦では同級生の左腕鈴木が先発し、3番手の小宅は最終回をわずか5球で締めた。だからこそ、森林貴彦監督(50)やチームメートのために成し遂げた今夏チーム初の完投勝利でもあった。「あの試合で球数を多く投げていたらきょう(21日)の完封はなかった。感謝している」

 初戦の北陸戦で7回無失点と好投したが、「直球で空振りが取れなかった」と分析。トレーナーの助言で肩甲骨に負担がかかっていたという投球フォームを見直した。「リリースポイントが前に出るようになった」と手応えを得て臨んだ準決勝で、「直球は甲子園に来て一番良かった」と自信をつけた。

 大会前から「仙台育英と決勝でやりたい」と語ってきた。中学時代に全国優勝を経験している右腕は「普段はあまり緊張しないが、雰囲気もあり緊張したのを覚えている。それも想定内にして投げたい」。大声援も、独特の重圧も全てを味方にして腕を振るだけだ。(藤江 広祐)

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