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【WEB記事】慶応日本一へのキーマン 渡辺千之亮 生活見直し運味方に(2023.08.06 神奈川新聞)

2023年08月13日

 第6日第3試合で北陸(福井)との初戦を迎える慶応。再臨した聖地で日本一に挑むキーマンを紹介する。(藤江 広祐)

 神奈川大会決勝。渡辺千之亮は2点を追う九回1死二、三塁で、県内屈指の左腕、横浜の杉山と対峙(たいじ)した。

 「チェンジアップがほとんど。メンバー外の3年生が打撃投手で手伝ってくれたおかげ」。杉山の傾向を基に、右打者を手玉に取ってきた落ち球が高めに浮いてくるのを我慢強く待った。フルカウントからの7球目を見逃すことなく捉え、「信じられない」という起死回生のアーチで春夏連続の甲子園出場に導いた。

元チームメートも祝福

 春に吹いた追い風は遠くに感じられていた。大会中は、打率は2割台で推移。準々決勝・横浜創学館戦では打順が3番から6番に下がった。「気楽になったが、3番で打ちたいという気持ちがあった。打ってやるぞ」。森林貴彦監督(50)の配慮に感謝しつつ、発奮材料に変えた。3番に戻った東海大相模との準決勝ではバックスクリーン右横に今大会初ホームランで復調をアピールし、終わってみれば最多の12打点をたたき出した。

 背番号17で臨んだ春の甲子園では、後悔が残る一打を経験した。タイブレークに突入した延長十回の第5打席。左翼ポール際にもう少しでホームランという大ファウルを放った。「運がないのかなと。引き寄せるために日常生活を見直した」

 常にプラス思考で物事を考え、「あれを拾わなかったから打てなかったという気がかりを残したくない」と目に留まったごみはすぐに拾った。

 茨城の取手シニア出身で、専大松戸(千葉)の主戦平野や正捕手の吉田は元チームメート。決勝戦後に平野から「おめでとう。(翌日の千葉大会決勝で)俺も頑張るわ」と祝福されたという。

 「安打の延長線上に本塁打があるイメージで振る」。一皮むけたスラッガーの快音が猛攻の号砲となる。

 わたなべ・せんのすけ 3年。184センチ、82キロ。右投げ右打ち。東京・東綾瀬中(取手シニア)出身。

 

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