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【WEB記事】慶応日本一へのキーマン 渡辺憩 遊び心が投手の力に(2023.08.07 神奈川新聞)

2023年08月13日

 第6日第3試合で北陸(福井)との初戦を迎える慶応。再臨した聖地で日本一に挑むキーマンを紹介する。(藤江 広祐)

 安定感のあるキャッチングで投手陣をリードする慶応の屋台骨だ。渡辺憩は「打撃を犠牲にしてでもしっかりリードしたい」。その顔には職人のようなりりしさがある。

 仙台育英(宮城)とぶつかった3月の選抜大会初戦。曇天の下、攻守にわたって躍動する扇の要の姿があった。

防御率1点台の取り組み
 
 二、七回に二塁到達1・9秒の強肩と正確無比な制球で盗塁を刺すと四回には中越えの二塁打で、先制の好機を演出した。

 「守備に集中にしてほしい」(森林貴彦監督)と今夏は7、8番を任され、主戦小宅や松井、鈴木ら豊富な投手陣への積極的なコミュニケーションに注力。データ班や学生コーチがにまとめた対戦校の特徴を基に試合映像を見て自分なりに分析し、防御率1点台の投球を支えた。

 昨秋からレギュラーに定着し、力を入れて磨いたのが、ストライクかボールか判断が微妙な球をストライクに見せる「フレーミング」の捕球技術だ。

 ペットボトルを逆手でつかんだり、転がってきたボールをかがんで捕球する姿勢で拾い上げたり…。主に捕手を指導する学生コーチの大谷航毅さんが考案した練習を繰り返し、体に染み込ませた。大谷さんは「遊び心を持ちながら伸ばしてきたものが形になった。キャッチングで救われた部分も大きいと思う」

 神奈川大会決勝で横浜打線に浴びた2本のソロ本塁打は「簡単に入ってしまった自分のミス」と反省する。いずれも直球を五回の萩には初球、七回の峯には2球目を捉えられた。隙を逃さない名門の怖さを痛感し、「小宅にもっと入りを意識させるべきだった」と教訓を得た。

 春は聖地のスケールを味わうにはあまりにも短かった。「雨が降っていて暗かったので、次は快晴でプレーしたい」と渡辺憩。甲子園を照らす陽光を受け、最高の笑顔を輝かせる。

 わたなべ・けい 3年。173センチ、71キロ。右投げ右打ち。千葉・小中台中(千葉市シニア)出身。

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