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【WEB記事】慶応日本一へのキーマン 小宅雅己 聖地に帰還したエース(2023.08.11 神奈川新聞)

2023年08月13日

 第6日第3試合で北陸(福井)との初戦を迎える慶応。再臨した聖地で日本一に挑むキーマンを紹介する。(藤江 広祐)

 「また戻って来られた。甲子園のマウンドは投げやすい」。エースナンバーを背負い聖地に帰ってきた慶応の小宅雅己。そのあどけない表情の裏に大きな自信を秘めている。

 元々物怖じしないタイプ。好投手との投げ合いでも自分のリズムを失わないのが持ち味だ。「仙台育英さんと試合をして、直球や変化球が通用したことで相手打者を見下ろすくらいの気持ちで投げられるようになった」。今春の選抜大会で強豪相手に8回1失点と好投した経験がもう一段上の境地に押し上げた。

正捕手が見抜いた素質

 精神面での成長に加え、直球の出力も夏を前にして向上。神奈川大会の開幕前には最速142キロだったが、大会中に145キロを記録した。準決勝までの登板4試合で21回1/3を無失点と盤石な投球。一方で、県内屈指の左腕・杉山と対峙(たいじ)した横浜との決勝では伸びしろも肌で感じた。

 「初回から少し疲れている感じがあった。意識的に低めに投げるべきだった」。2―0の五回に萩にソロを浴びると六回に3失点。七回にも峯に本塁打を打たれて同級生の鈴木にマウンドを譲ったが、相手エースは最後までマウンドに立っていた。「杉山さんは130球を超えても140キロが出ていて、体力的に差があった」とチームを支える大黒柱の姿を学んだ。

 入学前から抱えていた腰椎分離症の影響で、実戦で投げられるようになったのは昨夏。正捕手の渡辺憩も「実は小宅の存在は知らなかった」と回想する。それでも「新チームになってすごい人がいると感じた。間違いなくエースになる」とミットに吸い込まれるような球筋に、素質の高さがすぐに分かったという。

 神奈川大会では夏特有の観衆の多さに「プレーが早くなって焦ってしまった」と小宅。お盆の時期に差し掛かり、大応援団がスタンドを埋めると予想される初戦の光景を喜々と思い浮かべ、言い切った。「春はすごかったが、もっと来ると思うので楽しみです」
(藤江 広祐)

 おやけ・まさき 2年。右投げ左打ち。178センチ、76キロ。栃木・豊郷中(県央宇都宮ボーイズ)出身。

 

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