ホーム > メディア掲載 > 【WEB記事】慶応打線、広陵好右腕攻略 打撃マシンやイメージ高め対策(2023.08.16 神奈川新聞)

【WEB記事】慶応打線、広陵好右腕攻略 打撃マシンやイメージ高め対策(2023.08.16 神奈川新聞)

2023年08月17日

慶応6-3広陵(延長10回タイブレーク)

 コンバットマーチ「ダッシュKEIO」が勇ましく鳴り響く三塁側アルプス席が揺れていた。タイブレークに突入した延長十回。敵失で勝ち越すも4番加藤が二飛に倒れ、なおも2死満塁の場面で延末に打席が回った。

 前の打席に内角直球で左飛に詰まらされたことが頭をよぎる。「もう一回来ると思い、上からたたく意識を持った」。144キロの内角球を振り切り、一、二塁間を破った。5打点の殊勲者は「歓声が気持ちよかった」と両手を振り上げた。

殊勲の延末5打点

 外角球が生命線の広陵高尾を攻略すべく、練習では打撃マシンを外角いっぱいのコースに設定して振り込んできた。打撃投手の学生コーチに投球フォームをまねして投げてもらったり、宿舎の大広間の壁に高尾の映像を映したりしてイメージを膨らませ、「外角のストライクからボールになる変化球は振らない」とチームで定めた。

 三回までに延末の2点適時打などで3点を先制。しかし、さすがは今春の選抜4強の広陵をけん引する2年エース。尻上がりに球威は増し、四回以降は無得点に抑え込まれた。それでも、日頃から培ってきた「考える力」がここ一番でさえた。
 「内角球が増えてきた。左打者がインコースを張る打席があってもいいと選手で話し合った」と大村。初戦から修正して低めの変化球を見極めていた延末も自ら考え、内角を狙ったことが決着を付ける一打に結実した。

 「(高尾は)真っすぐも変化球も一級品。全て打とうとしたら打てないので絞って、練習でやってきたことが出せた」と延末。強打に機動力もあれば、柔軟な思考力で窮地を打開し勝ち筋を付ける。群雄割拠の神奈川を制した何よりの証拠であり、激闘の中で再び進化の片りんを示した。
(藤江 広祐)

ひと言

 慶応・森林貴彦監督の話 タイブレークの練習は練習試合も含めてやってきた。(先頭の丸田は)3点くらいは取らないと苦しいと思っていたので打たせた。
 慶応・大村昊澄主将の話 日頃の練習から甲子園で強い相手と接戦で試合するイメージでやってきた。この日のために2年半頑張ってきたというような試合だった。

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